2025年が近づくにつれ、DX推進が急がれています。自社で取り組む際にもっとも気になるのは、同業他社の動向ではないでしょうか。
どのような企業でも、一気にDXを推進できるわけではありません。デジタイゼーション、デジタライゼーションといった段階もあり、企業によって状況は大きく異なっているでしょう。
今回は業界別のDXの動向やDXが業界にもたらした影響を中心に説明します。
DX推進への具体的な手順や事例については以下で分かりやすく解説しています。
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DXとは
DXとは、デジタル技術を利用して、自社の製品やサービス、ビジネスモデル、そして組織のあり方までを変革し、消費者に新しい価値を提供することを指す言葉です。DXを推進することによって企業の競争力を高め、生き残りを図ります。
DXについて詳しくは、「【徹底解説】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?必要性から成功事例まで」をご覧ください。
また、DXは、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「DX」の3段階に分解できるとされています。必ずしも、デジタイゼーションから順にDXに向かって取り組むべきものではありませんが、やはり最初に手を付けやすいのはデジタイゼーションでしょう。
デジタイゼーションやデジタライゼーションについて詳しくは、「デジタ「イゼーションとは?デジタライゼーション・DXとの違いや具体例を解説」や「デジタライゼーションとは?効果や業種別の具体例と推進のステップ」をご覧ください。
DXにより起こりえるデジタルディスラプションとは
DXのポイントは単なるデジタル化ではなく、顧客に「新しい価値を提供すること」です。そのためには、これまでにはない新たなビジネスモデルを構築していかなければなりません。
しかし、それによって従来の産業やビジネスモデルに大きな影響がおよぶことは避けられません。DX推進によって新しいビジネスモデルが構築され、新しい価値が提供されると、従来の技術や商品が陳腐化する可能性があるのです。それにより、従来のビジネスモデルが使われなくなるといったことが起こります。これを「デジタルディスラプション」といいます。
デジタルディスラプションについて詳しくは、「デジタルディスラプションとは?必要な取り組みや例を紹介」をご覧ください。
業界別のDXへの取り組み
DXの推進状況は、業界により大きく異なります。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の発行する「DX白書2023」では、各種調査結果をもとに、国内産業におけるDX取り組み状況について、さまざまな種別で俯瞰図を作成しています。
そのなかで、産業別俯瞰図は、DXに取り組んでいる企業の割合別に、20%未満を「第一産業群」、20%以上30%未満を「第二産業群」、 30%以上を「第三産業群」に分類したものです。
この俯瞰図を見ると、「情報通信業」「金融業、保険業」「電気・ガス・熱供給・水道業」がDXの取り組み状況が高い一方で、「農業、林業 」「運輸業,郵便業 」「 漁業 」「 宿泊業,飲食サービス業」「医療,福祉」はDXの取り組み状況が低い結果になっています。
なお、同白書には、企業規模別や地域別の俯瞰図、DX推進状況や日本とアメリカの比較なども記されています。DX白書について詳しくは、「DX白書2023」公開!要旨とDX取り組み事例を紹介」をご覧ください。
DXの各業界への影響
DXの推進は各業界にどのような変化をもたらしているのでしょうか。例として、上記産業別俯瞰図、3つの産業群からそれぞれ1業界ずつ取り上げ、変化を紹介します。
運輸業
運輸業では、コロナ禍で生活様式が変化したことから通信販売が増加し、取引量が大幅に増えました。それにともなう業務負担の増加に対応するため、デジタルによる改革が急務となっています。
多くの企業では、ルート管理や在庫管理、伝票処理、ピッキングなどをデジタル化することで、必要なコストや業務負担を軽減しています。
また、ドライバーの業務を効率化するため、隊列走行、中継輸送拠点の導入など、物流の合理化を図る手段の開発も進んできました。今後は自動走行やドローン配送など、新しい技術の導入も進むと期待されています。
運輸業でのDXについては、「物流におけるDX―業界の課題と推進のポイント、取り組み事例などを紹介! 」もご参照ください。
製造業
製造業では、工場のデジタル化が進んでいます。工場にAIやIoTを導入して製造過程をデジタル化することで、大きな業務効率化だけでなく、新しい製造プロセスの実現が可能です。いわゆるスマートファクトリーです。
スマートファクトリーについては、「スマートファクトリーとは?その概要や課題、成功事例を紹介」をご覧ください。
最近では、インターネットで直接顧客とのやりとりができるようになり、これまでよりも顧客のニーズに応えやすくなっています。ビッグデータの解析によって顧客のニーズを分析し、新しい商品やサービスも開発できるようになりました。これはDXで目指す「新しい価値の提供」に通じるものです。
また、受注・発送システムをデジタル化して一元管理することで、事務部門の業務効率化を行い、より精密な需要予測が可能になっています。
製造業のDXについては、「製造業におけるDXの必要性―求められるアクションと推進事例を紹介」もご参照ください。
金融業、保険業
金融業や保険業では、DX白書でも「DXの推進が進んでいる」とされています。
例えば、AI-OCRを導入して、口座作成や保険申し込みなどの、さまざまな手続きをデジタル化して自動処理しています。バックオフィス部門にも積極的にITシステムを導入し、効率化を進めている企業も多くあります。
最近では、実店舗を持たずにすべてのサービスがデジタルで、スマートフォンアプリ上で完結する、「デジタルバンク」と呼ばれる銀行も登場しています。なお、DX推進に利用されるデジタルテクノロジーの一つにAIがあります。
「業種別AI活用事例!DXとの関係やAIによって進化した技術も紹介」も、業界ごとのDXへの取り組みのヒントとなりますので、ぜひご覧ください。
DX推進のために、まずはデジタイゼーション、デジタライゼーションを
DX推進が必要といわれるようになってから、ある程度の年月が過ぎました。貴社のDXの進捗状況はいかがでしょうか。また、貴社の属する業界内で比較するとどうでしょうか。
DX推進ができなければ、日本企業の競争力はますます低下し、2025年以降、大きな経済損失が発生するといわれている「2025年の崖」問題があります。この問題を回避するためにも、DX推進は必須です。
来たる2025年を見据え、DXの取り組みが十分でないのなら、準備を進めるべきです。
いきなりDX推進は難しいという場合でも、少なくともデジタイゼーションやデジタライゼーションの推進は急務です。業務に適応してデジタル化を進められるツールを導入し、まずはデジタイゼーション、デジタライゼーションを進め、DX推進へとつなげていってはいかがでしょうか。
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